薩摩琵琶は他の日本の伝統楽器とは違う性格を持っています。
その発祥において、舞台音楽としてのエンターティメントではなく、
薩摩島津藩士の精神修養の為の音楽として
武士の間で修行的な性格を強く持った音楽として誕生し、広まりました。
明治より舞台音楽として全国に知れ渡りましたが、その音楽にはストイックな雰囲気が残っています。
この学校では琵琶楽が出来あがった時代背景や他の芸能そして平家物語など、
単に音楽としてだけでなく広く「文化」として琵琶を捉えて充分なディスカッションを交え
レッスンを進めていきます。
琵琶を軸にして文学・歴史・芸能・そしてもっと深い日本の根本的な感性に
是非興味を広げていってください。
尚、薩摩琵琶は四弦四柱と五弦五柱がありますが、ここでは五弦五柱を使います。
希望者には雅楽の琵琶(楽琵琶)も教えます。
塩高和之先生
琵琶は音のイメージや楽器の形は大体解るけど、実際に生で聞いたことが無いという人がほとんどだと思います。
琵琶を学んでいると、単に音楽というだけでなく、ほかの芸能や茶道などにもつながり、日本の色々な精神文化に興味を広げてゆくと面白くなって行くと思います。
私は活動にあたって、なるべく伝統的な精神や文化とかかわりが深い場所で演奏会を開くようにしています。
私がメインとしている薩摩琵琶は、伝統邦楽の中でも特殊な位置にあります。
薩摩武士の教育音楽として誕生した薩摩琵琶は、舞台で人に聞かせるもので無かったのです。
自分の精神修養の為に弾くものでした。
その後明治頃からエンターティメントとなり、舞台で演奏をはじめましたが、私は薩摩琵琶が本来持っていた精神的な部分も自分なりに受け継いで行きたいと思っています。
受け継ぐには創造力が必要です。
室町時代の出来あがった当時そのままでは、曲の中身を現代の人が聞いても良く解りません。
私達が今、着物を着て生活していない様に、人間の暮らしや社会は移り変わって行きます。
そして何かに対して感じる、感性そのものも変わって行きます。
薩摩琵琶を現代に、そして次世代に伝える為にも、変えるべきところは変えないと伝わりません。
形を守ろうとするばかりに、本来の精神を見失ってしまわないように、現代に受け継いで、そして次世代に伝えて行くためには「創造と継承」という言葉がキーワードだと思っています。
塩高 和之(SHIOTAKA Kazuyuki)
伝統的な古典曲だけでなく新作にも積極的に取り組み、分野を超えて作曲・演奏活動を展開。厳島神社、赤間神宮をはじめ琵琶に深く関わる歴史を持つ熊野、高野山などでも演奏会を開く。
ソロ活動の他、横笛の人間国宝 寶山左衛門師、観世流シテ方 津村禮次郎師をはじめ様々なジャンルのアーティストと共演。従来の形式に囚われず演奏活動を展開している。
「演奏活動以外にも、琵琶楽やその背景となる古代から中世の文化・芸能等について幅広い視野で講演活動を行っている。
琵琶樂人倶楽部を設立し16年に渡り毎月レクチャーコンサートを開催。大学等では、東洋大学、東京外国語大学・慶応大学・明治大学・高野山大学・甲南女子大学・テンプル大学などで講演及び特別授業を担当。
海外においては、かつてのシルクロード、トルクメニスタン・ウズベキスタン・アゼルバイジャン・グルジアでコンサートツアーを行い大変な好評を得る(国際交流基金主催公演)。その他、ストックホルム大学、ロンドンシティー大学にも招かれ演奏・レクチャーを行い、イギリス、スウェーデン国内各所にて演奏会を開催。ロンドンシティー大学では石井紘美作曲「HIMOROGIⅠを世界初演。この演奏は2006年ドイツWERGOレーベルよりリリースされた石井紘美作曲作品集「Wind way」に収録され世界発売となった。
2015年5月、日本経済新聞文化欄で紹介される。2019年5月NHKeテレの『100分de名著』(平家物語)に出演。
現在までに60曲以上の琵琶曲を作曲し、11枚のアルバム、1枚の教則DVDを発表。
それらは全てFEIレコードを通じ、世界に向けて配信されている。琵琶樂人倶楽部主宰。
静岡県出身。
F.S(50歳代 女性)/オンラインレッスン・琵琶科
福井県からオンラインでレッスンを受けるようになって4年弱になります。
始めたばかりの頃はパソコンもろくに触ったことも無くZOOMもやったことが無かったのですが、少しずつ校長先生に教えて頂きながら使えるようになりました。
オンラインレッスンのメリットは、レコーディング出来るので、先生のおっしゃることや指の動きなど細かい部分をひとりで後から落ち着いて何度でも、しかも好きな時間に見直し出来るところです。デメリットは、琵琶は調整やメンテナンスが必要な楽器なのですが、それはまだ先生にやっていただかないと出来ないのと、繊細な音色の違いはなかなかオンラインでは伝わりにくいというところです。ですので、私は普段は月2回オンラインレッスンを受けて2~3ヶ月に1回対面レッスンを入れて頂くというパターンでやっています。オンラインでも対面でも柔軟に対応して頂けるので便利です。
琵琶を教えてくださる塩高先生は、ただ「琵琶という楽器が弾けるようになる」というだけでなく琵琶を演奏して自分がどのような世界を表現したいのか考えなさいといつもおっしゃいます。
はじめはテレビを見ていて偶然流れてきた琵琶の音色に惹かれて軽い気持ちではじめたのですが、自分の世界をといつも先生に言われて考えるうちに、琵琶を入り口にして日本の歴史、古典文学、和歌、能、邦楽、名所旧跡や神社仏閣めぐりと、どんどん興味が湧いて調べているうちに自分の身近なことなのに知らなかったということが沢山あることに気づきました。また、今までは自分には必要ないと思っていたのですが、パソコンやスマホやiPadも使いこなしていろいろな人とつながる新しいスキルも身につけたいと思うようにもなりました。もっともっと琵琶が上手になりたいし、いろんな事に好奇心もどんどん広がって、琵琶を始めたことで私の人生はとても豊かになりました。
塩高先生は、はじめはとても怖そうな先生だと思っていたのですが、いつも穏やかで丁寧で、もっともっと上手に!と焦ってガツガツしている私に、「まあ 楽しみながらゆっくり自分のペースでやったら良いんですよ」とにこやかです。後からオンラインレッスンを見直していると何度も同じ事を聞いていたり、言われたことと全く違うことをしている自分に呆れることがあるのですが、そんな時も根気強く何度でも丁寧に指導して下さっていて申し訳ないやら、恥ずかしいやらです。こんな感じで日々楽しみながらゆっくりと自分の世界を作るべくレッスンさせて頂いています。
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